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第92回:知らずに入っていることもある個人賠償責任保険、その隠れた安心は?(2010年12月)

日常生活の中で、ついうっかりと他人のモノを壊したり、思わぬことで他人にケガを負わせたりしてしまうことがあります。これまでに、このような事態に遭って、弁償したり、修理費や治療費を支払ったりしたことのある方、またはヒヤリとした、危なかったという経験をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。

そんな思わぬ事態があった時に役に立つ損害保険に、「個人賠償責任保険」があります。これは、一見、馴染みのない保険のように思われるかもしれませんが、実は、身近な自動車保険や火災保険、傷害保険、クレジットカードなどに付いていることもある保険です。『そういえば、うちの自動車保険に付いていたかも?』と思い出された方もおられるかもしれませんね。

しかしながら、いくら役に立つ保険でも、加入していることを知らなかったり、どんな事故に対してどんな補償があるのかを知らなかったりしたら、もし事故が起きても使えません。そこで今回は、イザという時に頼りになる「個人賠償責任保険」についてチェックしてみましょう。


個人賠償責任保険の商品内容と加入方法は?

個人賠償責任保険とは、日常生活の中で偶然の事故により、他人にケガをさせたり、他人が保有しているモノを壊したりするなど、法律上の損害賠償責任を負った場合に、被害者に対して支払うべき損害賠償金等に備えることができる保険をいいます。

通常、この保険(補償)は、損害保険会社で取扱われ、火災保険や自動車保険、傷害保険などの加入の際にセットされていたり、あるいは特約として加入できたりします。また、クレジットカードのサービスとして付帯されている場合もあります。さらに、クレジットカード会社では、会員向けサービスとして、月数百円程度の保険料で、単体の個人賠償責任保険に加入できるサービスを提供しているところもあります。


個人賠償責任保険の被保険者は?

一般に個人賠償責任保険は、保険証券の被保険者欄に記名されている本人だけでなく、その家族も被保険者となります。つまり、家族の誰かが加入していれば、家族全員がその保険の被保険者となるので、家族全員の損害賠償責任をカバーすることができます。これとは逆に、家族のそれぞれが加入していると補償が重複して、保険料がムダになる場合もあります。

この個人賠償責任保険は、ご家族で一つ加入していると安心ですので、まずは、ご自分やご家族が何らかの個人賠償責任保険(特約)に加入していないかをチェックしてみましょう。その際には、契約している損害保険の補償内容や保有しているクレジットカードの付帯サービスを確認されるとよいでしょう。

個人賠償責任保険の被保険者
(1)本人
(2)本人の配偶者
(3)本人または配偶者と生計を一にする同居の親族
(4)本人または配偶者と生計を一にする別居の未婚の子
  (例:進学のため、下宿している大学生の子どもなど)

個人賠償責任保険で補償される対象は?

では、個人賠償責任保険に加入していると、どんな場合に補償されるのでしょうか?
これについては、居住している住宅の所有、使用または管理によって起きた偶然な事故や、日常生活で他人のモノを壊したり、他人にケガをさせてしまったりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。もう少し具体的に言えば、損害賠償金(治療費や休業損害、慰謝料、弁償代、修理費等)だけでなく、様々な費用(応急手当、緊急処置等の費用、訴訟費用や弁護士報酬など)も支払われます。

個人賠償責任保険の対象となる事故の例
  • 家のテレビのアンテナが落っこちて、通行人にケガをさせた
  • 風呂の水を出しっ放しにして、アパートの下の階の部屋を水浸しにした
  • 買い物中に接触して、店の陳列物や商品を壊した
  • 飼い犬が他人に噛み付いて、ケガをさせた
  • 子どもがキャッチボールをしていて、通行人にボールがあたり、ケガをさせた
  • 子どもが友達の家で遊んでいて、不注意で高価な置物を壊してしまった

個人賠償責任保険の補償限度額と示談交渉サービスは?

通常、個人賠償責任保険では、身近な事故に対して、補償限度額が一事故あたり数千万円〜1億円程度で、保険料は月に100円〜数百円程度です。これより、広い補償範囲と高額な補償限度額が割安な保険料で確保できるので、コスト効果は結構高いといえます。ただし、クレジットカードに付帯されている場合などは補償限度額が数十万円と少なく、実際の損害賠償額を補うには不足する場合もあるので注意が必要です。

また、万が一の事態(事故)が起った場合に便利なのが、被害者との「示談交渉サービス」です。このサービスについては、全ての個人賠償責任保険に付いているわけではないので注意が必要です。もし付いていなければ、被害者との交渉は自分で行わなければなりません。そのため、示談交渉サービスが付いているかどうかで、いざ事故が起きた場合に、どこまで本人同士で話し合いを進めた方がよいかも違ってきますので、予め確認しておきましょう。


個人賠償責任保険で、補償されない事故には何がある?

個人賠償責任保険は、他人のモノを壊したり、他人にケガをさせたりした場合に備えられる保険ですが、事故によっては対象とならないケースもあります。これについては、被保険者が故意に事故を起こした場合や、業務遂行上の賠償事故、自動車・船舶・飛行機等による賠償事故、天災に起因する事故などは対象になりません。また、他人から借りたり、預かったりしていたモノに対する賠償責任も対象になりません。

個人賠償責任保険の保険金が支払われない事故の例
  • 自動車で事故を起こしてしまった
  • 仕事で商品を運搬中に商品を壊してしまった
  • 同居している親族のメガネを壊してしまった
  • 友人から借りていたカメラを壊してしまった

なお、保険によって、国内外の事故が対象となるものと、国内だけが対象となるものなど、補償範囲に違いがあるので、予め確認しておきましょう。もし国内の事故のみが対象の個人賠償責任保険に入っている場合、海外での事故が心配になりますが、海外に出かける際に「海外旅行傷害保険」に加入すれば大丈夫です。通常、海外旅行傷害保険には「賠償責任特約」が付いているので、海外で損害賠償が必要になった場合には保険金が支払われます。

  

以上のように、個人賠償責任保険は、比較的割安な保険料で、日常生活で起こりうる様々な事故のリスクをカバーすることができる、イザという時に頼りになる保険といえます。

実際、日々の生活の中で、他人のモノを壊したり、他人にケガをさせたりといった事故は、いつでも、誰にでも起こりうることです。また、他人に与えた損害が大きければ、高額の損害賠償金が必要になって、家計がピンチに陥ることもありえます。そのような事態(事故)に対して、損害賠償金や費用を保険で賄うことができれば、被害者に誠意を尽くすことができると同時に、加害者となってしまった自分や家族の生活も守ることができるのです。

この個人賠償責任保険(特約)は、意外と知らないうちに入っていることもあるので、今一度、加入している損害保険や保有しているクレジットカードについて、その加入の有無や補償内容を確認されてはいかがでしょうか。


2010年12月
大林香世(CFP®)

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