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第91回:家庭の保険の仕分け、お宝保険と見直し保険の見極め方は?(2010年11月)

最近、世間で政府の仕分けが注目される中で、家計の見直しにおいても「仕分け」は一つの視点といえます。家庭内で行う仕分けの対象はいくつかありますが、その中でも保険(生保、損保)は、家計全体に占める割合が高いにも関わらず、加入している保障(補償)内容など、今ひとつ把握していないケースも多いようです。そんな中、保険の見直しということで、保険会社に勧められるままに、せっかくのお宝保険まで「仕分け」してしまっている場合も少なからず見受けられます。

今回のコラムでは、「家庭の保険の仕分け」をテーマに、お宝保険と見直し保険の見極め方や対処法について、解説したいと思います。


家庭の保険加入一覧表で保険を仕分けする

まず、ご自分の加入している保険が「お宝保険」かどうかを調べる前に、現在加入している保険の内容を把握することが先決です。つまり、「保険の棚卸し」というわけです。その際には、タンスや金庫などにしまいこんである保険証券を取り出しましょう。これらを見て、下図のように、夫、妻、子どもなどのように被保険者(保険の対象となっている人)別に、保険種類や保険金額、保険期間などを記入していきます。

<保険加入状況一覧表(例)>

契約者
被保険者
保険種類
保険会社
保険金額 保険期間 保険料
払込期間
払込方法
保険料
(年間)
死亡保障 医療保障 特約など
契約者:夫
被保険者:夫
定期付
終身保険/
○○生命
終身+定期/3,000万円 病気・ケガ/日額5,000円 災害時死亡/4,000万円 28歳〜60歳 60歳
まで/
年払い
178,000円
同上 同上 終身/200万円 60歳〜
契約者:夫
被保険者:夫
終身医療
保険/
▲▲生命
病気・ケガ/日額5,000円 30歳〜 終身
払い
55,000円
*** *** ***     *** *** ***
*** ***   ***   *** *** ***
<死亡保障総額>  ○○○○万円           <支払保険料総額>  △△△△△△円

なお、上図は、生保に関するものですが、損保についても同様の一覧表を作るとよいでしょう。大切なのは、家計において、保険の加入状況が一覧できて、保障内容や保険料負担等が一目で把握できるようにすることです。


保険加入一覧表の注意点と分かることは?

この保険加入一覧表を作成する場合には、2点ほど注意すべき点があります。

1点目は、死亡保障欄には、病気で亡くなった場合の保険金額(保障額)を記入します。通常、保険設計書などでは、一番大きく「死亡時には○○○○万円保障」などと書かれていますが、これは災害割増特約で支払われる金額です。実際には、台風や火災などの災害や交通事故などで死亡する確率は非常に低いため、死亡保障額を把握する時には、病気で死亡するケースを基準に考える方が良いでしょう。

2点目は、収入保障保険など年金形式で保険金がもらえる保険は、保険期間満了までの合計金額を記入し、また医療保険(特約)やガン保険(特約)などの入院特約については、病気入院、ケガ入院、成人病入院、がん入院などの1日当たりの入院日額を記入します。

なお、ご家庭によっては、いくつも保険に加入している場合、保険加入一覧表を作るだけでも大変だと思いますが、これを作ることによって、

  • (1)どのような保険に加入しているか
  • (2)死亡や入院した場合の保障額はいくらか
  • (3)重複している保障はないか
  • (4)保険料はいくらで、いつまで支払うか

などが明確になり、日常生活の中で保険管理をする上でも役立ちます。


「お宝保険」とは何か?

家計の中で「お宝保険」とは、なんともありがたい言葉ですが、これは、カンタンにいうと予定利率(運用利回り)の高い保険のことです。

一般に保険は、契約した時点で保険会社があらかじめ約束した予定利率をもとに保険料を計算します。この予定利率は、契約した時点で固定されますので、契約後、いくら市中金利が変動しても予定利率は変わりません。したがって、昨今のような超低金利では、保険会社の持ち出し、いわゆる逆ザヤ状態となるわけです。このため、ある時期以前に契約した保険については、今では考えられないほど保険料が安いにもかかわらす、保障が手厚くなっています。

このように「お宝保険」は、加入者にとって、絶対に手放したくないお宝のような保険なのですが、保険会社にとっては、リスクの高い‘重荷’のようなものです。そのため、「新商品が出ました」などと言って転換を勧め、他の保険に乗り換えさせようと提案されることもよくありますのでご注意ください。


「お宝保険」のチェックポイントは?

では、「お宝保険」かどうかを知るには何を見ればよいのでしょうか? これについては、チェックポイントはおおまかに言って二つです。

第一に、保険に加入した年月を確認することです。現在、予定利率の推移は、以下の図の通りですが、おおむね1996(平成8)年4月以前に加入していれば、お宝保険と言えるでしょう。

第二に、加入している保険が貯蓄性の高い保険(養老保険、終身保険、個人年金保険)かどうかを確認することです。ちなみに、定期保険などの掛け捨ての保険は、お宝保険にはなりません。また、生保ではなく損保にも、かつて販売された積立型商品の中に、利率の高いお宝保険がありますので、持っている方は商品内容をチェックしてみましょう。

<国内生命保険会社の予定利率の推移例>

契約時期 保険期間
10年以下 10年超20年以下 20年超
1985(昭和60)年4月2日〜
1990(平成2)年4月1日
6.25% 6.00% 5.50%
1990(平成2)年4月2日〜
1993(平成5)年4月1日
5.75% 5.50% 5.50%
1993(平成5)年4月2日〜
1994(平成6)年4月1日
4.75%
1994(平成6)年4月2日〜
1996(平成8)年4月1日
3.75%
1996(平成8)年4月2日〜
1999(平成11)年4月1日
2.75%
1999(平成11)年4月2日〜
2001(平成13)年4月1日
2.00%
2001(平成13)年4月2日〜 1.50%

※一時払い商品や変額保険商品などの一部の予定利率は異なる。


お宝保険はどう考え、見直し保険はどうする?

一般に加入していた保険が「お宝保険」であっても、見直す余地はあります。

例えば、予定利率の高かった頃の主力商品は、終身保険の上に更新型の定期保険特約の付いた定期付き終身保険という商品でした。この商品のうち、お宝保険といえるのは終身保険部分だけです。そのため、すでに高額な死亡保障が必要ないのであれば、定期保険特約部分を解約して、お宝保険の終身保険だけを残す方法もあります。また、高額な死亡保障がまだ必要で、もっと保険料を安くしたい場合は、同じく特約部分を解約し、もっと割安な保険に切り替えた方がオトクになることもあります。

ただし、定期保険特約部分を外せるかどうかは、保険会社で異なり、終身保険の保険金額が少なければ外せないものもありますので、保険会社に確認してみましょう。

一方で、契約時期が1996(平成8)年4月以降の契約で、お宝保険でなかった場合は、すぐに見直すべき保険かもしれません。特に、現在加入している保険で、特約がたくさん付いていて、保険料が割高では?と感じたら、保障内容が適切(必要十分)であるかも含めて、見直しを検討してみてはいかがでしょうか? 最近では、保険料を抑えた低コストのシンプルな保険商品もあり、また定期保険と医療保険を単体で契約したりするなど、様々な見直し方法がありますので。

なお、2007(平成19)年4月に死亡率が下がり、掛け捨て型の死亡保険の保険料が10%以上値下がりしました。そのため、ここ3〜4年で加入した保険については、年齢が上がっていても、以前のものより保険料が安くなっているものがありますので、この場合は見直しが必要ないと言えます。


保険の仕分けで「埋蔵金」を見つけてみよう!

以上より、保険の仕分けにより、家計の埋蔵金とも言える「お宝保険」が見つかったら、これは有利な保険資産なので大事にしましょう。また、お宝保険ではない、見直し保険が見つかったら、保険の「見直し」によって、保障のムリ・ムダを省き、保険料コストの合理化を図り、家計の支出を改善しましょう。これによって、家計の支出を改善できた分が新たな財源となり、別の意味で「埋蔵金」と言えます。

最後に保険は、家計全体に占める割合が高いにも関わらず、加入している保障(補償)内容や支払う保険料が合理的かは実際に調べてみるまで分からず、この保険の「仕分け」によって、我が家の思わぬ家計の「埋蔵金」が出てくるかもしれませんね。


2010年11月
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)
黒田 尚子

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