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第86回:住宅エコポイントなど国の住宅支援策にはどんなメリットがあるの?(2010年6月)

景気が低迷する中、国は住宅購入という大きな「買い物」を後押しし、消費を拡大して景気回復につなげようと、現在、様々な住宅支援策を打ち出しています。住宅エコポイント制度やフラット35S、住宅資金贈与の特例や住宅ローン控除など、支援策は目白押しで、住宅購入を考えておられる方にとっては、2010年はまさに「買い時」と言えるでしょう。

とはいえ、多種多様な住宅支援策に戸惑い、どんな制度なのか、どんなメリットがあるのかよく分からない方も多いようです。そこで今回は、国の住宅支援策のメリットを活用し、魅力的な住宅を有利に手に入れられるように、その内容や条件を確認してみましょう。


住宅エコポイント制度とはどのようなもの?

2009年の「家電エコポイント制度」の成功に続いて始まったのが「住宅エコポイント制度」です。これは、エコ住宅を新築された方やエコリフォームをされた方に対して一定のポイント(最大30万ポイント=30万円相当)が発行され、様々な商品との交換や追加工事の費用に充当することができるという制度です。

ポイントの交換対象には、省エネや環境に配慮した商品や地域の特産物、商品券やプリペイドカードなどがあり、環境問題に取り組む団体にポイントを寄附することも出来ます。また、エコ住宅の新築やエコリフォームに追加で実施する工事にポイントを工事費として充当(即時交換)すれば、工事施工業者への支払いはポイント分を差し引いた金額に抑えることが出来ます。

この住宅エコポイント制度には、「エコ住宅の新築」と「エコリフォーム」の2種類があります。いずれも着工の時期が2010年12月末までであることが条件で、対象となる工事の期間やポイント交換期限などがそれぞれ異なるので注意が必要です。また、エコリフォームの場合、国からの補助を受けて行った窓や壁などの耐熱工事やバリアフリー改修工事、バリアフリー改修のみを行う工事、工務店等の工事施工者と工事請負契約がない工事(日曜大工等)はポイント発行の対象外となります。

<住宅エコポイント制度の概要>
内容 エコ住宅の新築 エコリフォーム
対象となる工事期間 2009年12月8日〜2010年12月31日に建築着工し、2010年1月28日以降に工事が完了したもの。 2010年1月1日〜2010年12月31日に着手したもので、2010年1月28日以降に工事が完了したもの。
対象となる住宅 次の(1)または(2)に該当する住宅の新築工事
(1)省エネ法のトップランナー基準相当の住宅
(2)省エネ基準(平成11年基準)を満たす木造住宅
持家・借家、一戸建て住宅、共同住宅等に係らず全ての住宅が対象。一定基準を満たす次の(A)〜(C)の工事
(A)窓の断熱改修
(B)外壁、屋根・天井または床の断熱改修
(C)バリアフリー改修・・・(A)または(B)と一体的に行うもの
発行
ポイント数
1戸あたり一律300,000ポイント 1戸あたり各項目を合算して上限300,000ポイント
ポイント
申請期限
一戸建て住宅:2011年6月30日まで
共同住宅等:
・階数が10以下 2011年12月31日まで
・階数が11以上 2012年12月31日まで
2011年3月31日まで
ポイント
交換期限
2013年(平成25年)3月31日まで

住宅資金の贈与が受けられるなら、どれくらい有利?

2010年は、住宅取得を支援するために、住宅取得資金の贈与に係る非課税措置が拡大されています。そもそも贈与税とは、1年間(その年の1月1日から12月31日まで)に財産を贈与されたとき、贈与財産の合計額から110万円(基礎控除額)を差し引いた金額に税率をかけて税額を計算して課税されるものです(暦年課税)。

しかしながら、住宅資金は高額になりがちなので、通常どおりに贈与税が課税されると、せっかく贈与された住宅資金を存分に住宅購入に活かすことが難しくなります。そこで、住宅取得資金の贈与に関しては、様々な特例措置が取られています。特に2010年1月1日〜2011年12月31日までは、時限措置として、20歳以上の人が直系尊属(父母、祖父母等)から住宅取得資金に充てるための贈与を受けた場合には、2010年なら1,500万円、2011年なら1,000万円の非課税枠が設けられています。

この非課税措置は、暦年課税・相続時精算課税※いずれかと併せて利用することができ、それぞれの基礎控除額と併せて、2010年は暦年課税であれば1,610万円、相続時精算課税であれば4,000万円までは贈与された住宅取得資金は非課税ということになります。そのため、物件によっては、住宅購入資金の全てを贈与してもらっても、贈与税はかからないということになりそうですね。

※相続時精算課税…贈与時には贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を差し引くことにより、贈与税・相続税を通じた納税を行う制度。これには2,500万円の基礎控除額がある。

<住宅取得資金の贈与に係る非課税枠と暦年課税・相続時精算課税の基礎控除>
年度 住宅資金の贈与に係る非課税枠 暦年課税の基礎控除額 非課税分の合計
相続時精算課税の基礎控除額
2010年 1,500万円 110万円 1,610万円
2,500万円 4,000万円
2011年 1,000万円 110万円 1,110万円
2,500万円 3,500万円

なお、住宅取得資金の贈与に係る非課税措置には所得制限があり、贈与を受ける人の合計所得金額が2,000万円以下に限られます。また、期間限定の優遇措置ですから、贈与を受ける予定のある方は、早めに条件を確認しておきましょう。

3種類の「フラット35S」でローン優遇

現在の国の住宅支援策には、住宅ローンそのものにもあります。これについては、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して取り扱う長期固定金利型の住宅ローン「フラット35」を利用する場合、耐震性や耐久性などのいずれか1つ以上の基準を満たす住宅を取得するなら、一定期間の金利優遇が受けられる「フラット35S(優良住宅取得支援制度)」が利用できます。

フラット35Sは、もともとは「当初5年間、年0.3%の金利引下げ」でしたが、下表のように2010年2月15日以降、期間限定で「当初10年間、年1.0%の金利引下げ」とされており、3つのタイプがあります。

<フラット35Sの3つのタイプ>
タイプ 金利引下げの内容 金利引下げを受けるための住宅の技術基準
フラット35S フラット35の借入金利から当初10年間は年1.0%引下げ <新築・中古住宅共通の基準>
(1)省エネルギー性 (2)耐震性 (3)バリアフリー性 (4)耐久・可変性のうち、いずれか1つ以上に適合する住宅であること。
フラット35S
(中古タイプ)
フラット35の借入金利から当初10年間は年1.0%引下げ <中古住宅特有の基準>
省エネルギー性〔(1)開口部断熱 (2)外壁等断熱)〕、バリアフリー性〔(3)段差解消 (4)手すり設置〕のうち、いずれか1つ以上に適合する住宅であること。
フラット35S
(20年金利引き下げタイプ)
フラット35の借入金利から当初10年間は年1.0%引下げ
11年目以降20年目まで年0.3%引下げ
<新築・中古住宅共通の基準>
(1)省エネルギー性 (2)耐震性 (3)バリアフリー性 (4)耐久・可変性のうち、いずれか1つ以上に適合する住宅であること。上記2つと比べて、基準の内容が高い。

※上記の基準のほか、住宅の耐久性等の【フラット35】の技術基準に適合することが必要です。各基準の詳細については、フラット35のHP等でご確認ください。

ちなみに、2010年6月のフラット35の金利は2.410%〜3.360%(返済期間が21年以上35年以下の場合)となっています。これについて試算してみると、3,000万円を金利2.7%、35年ローンで借りてフラット35Sを利用した場合、フラット35を利用した場合に比べると、約315万円もオトクということになります。

条件:借入額3,000万円、金利2.7%、返済期間35年、ボーナス返済なし
タイプ フラット35 フラット35S
フラット35S(中古タイプ)
適用金利 全期間2.7% 当初10年間1.7%
11年目以降2.7%
毎月の返済額 全期間 11.1万円 当初10年間 9.5万円
11年目〜 10.7万円
総返済額 4,641万円 4,326万円

なお、注意したいのは、いずれも期間限定の金利優遇であることです。3タイプとも、「当初10年間、年1.0%の金利引下げ」は2010年12月30日までの申込み分までで、2011年1月4日以降申込み分からは「当初10年間、年0.3%の金利引下げ」になります。また、金利引下げとなる期間も2012年4月1日以降は、フラット35S・フラット35S(中古タイプ)は「当初10年間」が「当初5年間」に、フラット35S(20年金利引き下げタイプ)は「当初20年間」が「当初10年間」になります。


過去最大の住宅ローン控除で節税

国の住宅取得支援策には、税制面の優遇もあります。これについては、住宅購入希望者であればご存知の方も多いと思いますが、住宅ローンを利用してマイホームを購入したり増改築をしたりした場合に一定の条件を満たせば、借入金のローン残高の一定割合が所得税から減税(控除)される「住宅ローン控除」が利用できます。

住宅ローンから控除される額 = 年末ローン残高 × 控除率

2010年から居住した場合の住宅ローン控除は、最大で年間50万円、10年間で合計500万円の控除が受けられ、過去最大規模となりました。また、認定長期優良住宅※の場合には、下表のように控除額は最大600万円となりました。さらに、所得税から控除しきれない住宅ローン控除額については、翌年度分の住民税からも控除できるようになりました。

※認定長期優良住宅…住宅を長期にわたり良好な状態で使用するために、法律で定められた基準に基づき、国が性能等を認定した住宅

<住宅ローン控除の概要:認定長期優良住宅の場合は()内の数字>
居住年 住宅ローン等の
年末残高の限度
控除期間 控除率 10年間の最大控除可能額
2010年 5,000万円
(5,000万円)
10年間 1.0%
(1.2%)
500万円
(600万円)
2011年 4000万円
(5,000万円)
1.0%
(1.2%)
400万円
(600万円)
2012年 3,000万円
(4,000万円)
1.0%
(1.0%)
300万円
(400万円)
2013年 2,000万円
(3,000万円)
1.0%
(1.0%)
200万円
(300万円)

ただし、「最大で年間50万円の控除」が受けられるのは、年末時点のローン残高が5,000万円以上あり、納めるべき所得税額が50万円以上ある場合です。仮に年末時点のローン残高が2,000万円であれば、控除可能額は20万円となりますが、所得税が15万円であれば所得税から控除されるのは15万円です。この控除額について、時々誤解されておられる方がいるのですが、所得税や住民税から控除しきれなかった金額がもらえる訳ではないのでご注意ください。

さらに国の住宅支援策には、そのほかにも、バリアフリー改修や省エネ改修、耐震改修工事を行った場合の税制優遇など様々なものがあり、性能の高い住宅であれば、より有利な優遇が受けられる場合が多くなっています。

以上より、住宅購入などを考えておられる方は、どんな住宅であればどんな支援が受けられるのかを考慮しつつ、住宅計画を立てられるといいですね。また、支援策はいずれも期間限定なので、利用する場合は早めに対応することが必要です。


2010年6月
大林香世(CFP®)

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