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第79回:FPが教える家計簿の締め方と始め方、身近な家計管理のコツは?(2009年12月)

毎年、師走を迎えると、職場でも家庭でも、新年に向けて年内に片付けることが目白押しだと思いますが、この時期は一年間つけてきた家計簿を締める時期でもありますね。新年から始まる様々な計画を実現していく上で、今年の家計簿の記録が威力を発揮します。家計簿は、世界で一つの「わが家の」家計情報であり、家計管理の問題点を見つけ、解決策を立てるための基礎データとなります。

今回のコラムでは、家計簿の「締め方」と、それを活かした来年の家計簿の「始め方」について、家計管理のコツも含めて考えてみましょう。


今年の家計簿を締めるポイントは?


(1)きちんと「締め」てこそ、役立つ家計簿

なぜ、家計簿は「締め」が大切なのでしょうか?
そもそも家計簿は、家計の現状を明らかにして、『現在と将来の生活に必要なお金をやりくりできるか』をチェックするためのものです。通常、どこの家庭も、月によって収支に波があるので、例えば一月分の記録だけで、家計の現状を把握するには無理があります。

そのため、一年分の家計簿をきちんと締め、年間収支や年間貯蓄増減額などを明らかにし、また月ごとのデータを比較することで、よりはっきりと家計の現状がわかり、問題点を見つけることが容易になるのです。


(2)年間収支と年間貯蓄増減額をまず確認する

毎年、家計簿を締める際には、現在の生活のお金のやりくりと、将来必要なお金が準備できているかをチェックしましょう。具体的には、現在の生活のお金のやりくりは「年間収支」で、将来必要なお金が準備できているかは「年間貯蓄増減額」で確認できます。


年間収支のチェック

多くの家計簿で用意されている「年間収支一覧表」といった名前の表に、集計した毎月の収入と支出を費目ごとに書き込み、合計額を計算してみましょう。そして、「収入合計−支出合計」で求められるのが「年間収支」です。この年間収支が黒字だったら、収入の範囲内で支出をまかなえたことを意味し、一方で赤字だったら、収入の範囲内では支出をまかなえなかったことを意味します。

年間収支=収入合計−支出合計 ⇒ 黒字or赤字
年間収支が黒字 現在の生活は、収入の範囲内でまかなえたことになるので一安心。この場合、年間収支の黒字額は、貯蓄に回っているはずであり、貯蓄額がきちんと増えているかをチェック。
年間収支が赤字 現在の生活は、収入の範囲内ではまかなえず、貯蓄を取り崩すか、借金をするかで不足分を補っていることになるので、家計に危険信号が点灯。住宅や車の購入、子どもの進学など大きな支出があって、今年だけ赤字になったのなら、あまり心配する必要はないが、毎年赤字が続くようなら、家計自体に無理があり、今後のライフプランや支出内容を早急に見直すことが必要。

年間貯蓄増減額のチェック

家計簿を締めて、年間収支が黒字だったら、本来はそれが全て貯蓄に回っているはずですが、実際には年間収支の黒字額と年間貯蓄の増加額が一致することはまずありません。その金額のズレが起こるのは、家計簿につけ漏れが合ったり、クレジット払いで家計簿につけた日と決済日がズレていたり、また貯蓄の一部を価格変動の大きい投資商品で運用したりしていたことなどが、主な要因として挙げられます。

家計簿の年間収支と貯蓄の増減額は、まず一致しない。貯蓄増減の正確な把握が必要!

また、年間収支が赤字で貯蓄を取り崩していた場合、一年間にどれくらい貯蓄額が減ったのかをよく知る必要があります。家計簿の役割として、日々の家計のやりくりをうまくやって、少しでも貯蓄額を増やすことが重要ですので、家計簿を締める際には年間貯蓄増減額もしっかりと把握するようにしましょう。これを把握するには、預金通帳や取引残高報告書などから、下記のような一覧表を作ると便利です。

<貯蓄などの一覧表の例(単位:円)>

金融機関名 名義 商品名 年初残高 年末残高 増減額
A銀行 太郎 積立定期 400,000 640,000 +240,000
A銀行 太郎 スーパー定期 2,000,000 2,010,000 +10,000
B証券 太郎 株式ファンド 600,000 400,000 -200,000
D信組 花子 積立定期 300,000 420,000 +120,000
合計 3,300,000 3,470,000 +170,000

※上記の事例のように、一部の金融商品の資産価値が目減りして、全体として思ったより残高が増えていないこともある。その場合は、貯蓄方針や利用する金融商品を再検討することも必要。


(3)個別の支出金額・内容から、無駄を見つける

年末に家計簿を締めて、年間収支と年間貯蓄増減額を確認し、『今年の年間収支は赤字だった』『今年は貯蓄が思うように増えていない』といった問題点が分かったら、次は毎月の支出内容をチェックして、家計の問題点を探って行きましょう。


毎月の支出金額・内容のチェック

家計簿で用意されている「年間収支一覧表」で、毎月の支出額を費目ごとに比較すれば、月ごとのばらつきや無駄が見えてきます。たとえば、『4月の食費は3万円なのに、5月は6万円もかかっている。外食が多かったから?』といった具合に、1年間を思い出しながら、家計の無駄とその原因を探っていきます。また、「各費目の平均額」も計算しておけば、平均より多いか少ないかで支出の無駄を探る手段にもなりますし、来年の費目ごとの予算設定の基準にもなります。

一般に、『住居費は手取り収入の25%以内』『保険料は手取り収入の10%以内』などと言われるが、不動産相場の高い首都圏と安い地方では事情が異なり、また多額の死亡保障があまり必要でない独身の方や共働き夫婦のみの家庭なら、10%の保険料でも高すぎる場合もある。そのため、世間でよく言われる「平均額」や「目安割合」は、各家庭によってお金のかけ方や使い方が異なるので、無駄な部分を探る際の参考程度に考えるのがよい。


特別出費のチェック

毎月発生するわけではないけれど、1年の間に必ず発生する「特別出費」も一覧にしてまとめておきましょう。自動車税や固定資産税などの税金、帰省費用、年払いの保険料、冠婚葬祭の費用などは、年間で数十万円にもなります。これらは、支出時期に合わせて計画的に用意しておかなければ、毎月の赤字の原因にもなりますので、家計簿から抜き出して一覧にしておくと来年の計画を立てる際にも便利です。

(4)確定申告で医療費控除のための表を作成する

家計簿の費目集計で、医療費の年間合計額が10万円を超えており(※)、領収証やレシートがすべて保管してあるなら、確定申告で「医療費控除」の申告をすれば、税金が軽減できます。また、確定申告の際には、領収証等と医療記録の一覧表(医療費の明細書)を添付することになるので、家計簿を締める際に作成しておくと便利です。この明細書のフォーマットは、国税庁のHPからダウンロードできます。

医療費控除の額=支払った医療費−保険金などで補填される金額−10万円・・・最高200万円

※所得が200万円未満の場合は、負担した医療費から所得金額の5%を差し引いた額が医療費控除の額となるので、負担した医療費が10万円未満でも控除が受けられる。


来年の家計簿をスタートするポイントは?

今年の家計簿を締めて、家計の現状が分かったら、来年の家計簿の準備を始めましょう。その際には、ライフプランを検討・確認した上で、貯蓄計画を立て、そして家計簿をスタートさせることがポイントになります。

(1)ライフプランを検討・確認する

家計簿は、日々の家計支出を管理するものですが、その視点として、中長期のライフプランと関連付けることが大切です。日々のお金の管理は、ライフプランという生活設計があってのものですので、家計簿と共に「ライフプラン表」を作成するとよいでしょう。このライフプラン表は、下記の例のように、時系列での家族の年齢、現時点での予定や予算額などを書き込んでいくと分かりやすいです。

<ライフプラン表の例:(済)は必要資金を準備済みの意味>

西暦 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
時期 今年 1年後 2年後 3年後 4年後 5年後
太郎 38歳 39歳 40歳 41歳 42歳 43歳
花子 36歳 37歳 38歳 39歳 40歳 41歳
11歳(小5) 12歳 13歳(中1) 14歳 15歳 16歳(高1)
9歳(小3) 10歳 11歳 12歳 13歳(中1) 14歳
予定 家族旅行
30万円(済)
  住宅ローン
繰上返済
100万円
車買い替え
200万円
  明高校進学
50万円(済)

(2)貯蓄計画を立てる

ライフプランで予定と予算がわかったら、『いつまでに』『なんのために』『いくら』という具体的な貯蓄目標を立て、それをもとに年間の貯蓄計画を立てます。その際に必要額を積立期間で割って、おおまかな毎月の積立額も計算してみましょう。この貯蓄計画では、ボーナスは景気や会社の業績によっても支給額が上下しやすいものですので、あまりあてにせずに、無理な計画にならないように注意しましょう。

<貯蓄計画の例:上記のライフプラン表の場合>

貯蓄目標 時期 必要額 毎月必要貯蓄額
住宅ローンの繰上返済 2年後 100万円 4.17万円(=100万÷24ヶ月)
車の買い換え 3年後 200万円 5.56万円(=200万円÷36ヶ月)

なお、年末の家計簿の締めから、現時点で毎月貯蓄できる金額にも限度があり、ここで立てた貯蓄計画の実現が難しい場合もあります。そのような時は、ライフプラン表の予定や予算などを再度調整してみましょう。

(3)来年の家計簿をスタートする上で・・・

ライフプランや貯蓄計画ができたら、いよいよ来年の家計簿の準備です。家計簿の形式については、自分にとって分かりやすく、続けやすい方法であれば、どんなタイプでも構いません。現在、様々な種類の家計簿が市販され、インターネット上にも無料で利用できる家計簿サイトもあります。また、大学ノートやエクセルで自分なりの家計簿を作るのもよいでしょう。


毎月の貯蓄目標額を設定する

まず、家計簿において、貯蓄計画に合わせて、「毎月の貯蓄目標額」を設定しておきましょう。着実に貯めるなら、天引き貯蓄や自動積立預金等を利用した「先取り貯蓄」が確実です。この方法を利用した場合、先取り貯蓄の割合が多すぎると、収入が少ない月や不時の出費があった月は家計が苦しくなる場合があるので、給料日に一定の金額だけを先取り貯蓄した上で、後日また貯蓄を上乗せする二段構えで行うと無理がないでしょう。


費目はよく検討し、一年間変更しない

次に費目を設定し、貯蓄目標が達成できるように、「費目ごとの予算」を設定しましょう。この費目設定は自由ですが、よく検討した上で、一年間分類を変えないことが大切です。また、無駄な支出をしがちなものは独立の費目として立てると、より管理しやすくなります。例えば、食費の中の「外食費」、交通費の中の「ガソリン代」など、節約できそうな支出は、別立てで管理してみるのもよいでしょう。

なお、費目ごとの予算を立てる際には、今年のデータを参考にして、その中で見つけた「無駄」を今年の平均額から差し引いた金額にすれば、無理のない予算となるでしょう。(翌年の費目の予算=今年の平均額−無駄な金額)

最後に、家計簿というのは非常に身近なものですが、それをどう活用するかで家計管理は大きく変わります。特にライフプランと貯蓄計画をうまく関連付けることが、家計管理の一つのコツではないでしょうか。


2009年12月
大林香世(CFP®)

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