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第72回:「ねんきん定期便」が届いたら何が分かるの?(2009年6月)

2009年4月から、より良い年金を目指して「ねんきん定期便」が本格的にスタートしました。公的年金は、将来の老後資金の大きな柱の一つであり、年金に関する個人情報を定期的に知らせてくれる「ねんきん定期便」は、将来の公的年金を正しく受給するために、自分自身でしっかりと確認することが大切となります。

今回のコラムでは、誰にも身近で重要なものである「ねんきん定期便」について、最近の年金記録問題などの動向と併せて、基本的な制度の概要やチェックポイントについて解説してみたいと思います。


「ねんきん定期便」とは、そもそも何なの?

「ねんきん定期便」とは、国民年金や厚生年金の‘現役加入者’を対象に、公的年金の保険料の納付実績や将来の年金額の見込額など、いわゆる年金に関する個人情報を定期的に確認できるようにした、社会保険庁から郵送される通知書のことをいいます。本制度は、2004年の年金制度改正で盛り込まれ、本来であれば、 2008年4月から実施される予定でしたが、2007年に宙に浮いた5千万件の年金記録の存在が判明したため、本格実施が1年延期されて、2009年4月からのスタートとなりました。

「ねんきん定期便」と聞いて、『あれ?前にも、同じような通知書が送られてきたような気がするけれど・・・』という人もいるでしょうが、それは「ねんきん特別便」のこと。「ねんきん特別便」は、一連の年金記録問題の解決策の一環として、年金記録の確認や訂正のために、‘現役加入者’および‘年金受給者’に対して、2007年12月から 2008年10月までの間に発送されたものです。原則として、「ねんきん特別便」は、1人に対して1回のみの送付でしたが、これに対して「ねんきん定期便」は、その名の通り、毎年の誕生月に、定期的に送付される仕組みとなっています。

<ねんきん定期便の基本概要>
送付対象者 国民年金、厚生年金の被保険者(現役加入者全員)
送付周期 毎年誕生月に送付(1日生まれの方は誕生月の前月に送付)
送付内容 年金記録に関する個人情報
送付形態 A4判の大きな封筒(水色−普通、オレンジ色−要注意)
送付書類 通知書一式、年金加入記録回答票、リーフレット、返信用封筒など

どうして「ねんきん定期便」が届くの?

「ねんきん定期便」は、そもそも2004年の年金制度改正で、将来の年金不安を背景に、年金記録に関する個人情報の定期的な通知(ポイント制)と年金制度に対する理解を深めることを目的としたものでしたが、2007年に発覚した「年金記録問題」により、年金記録の定期的な確認がクローズアップされるようになりました。

厚生労働省の発表によれば、2009年3月末時点で、年金記録問題となっている5,095万件の該当者不明の年金記録のうち、「ねんきん特別便」の確認作業等により、持ち主が特定できた年金記録は、約2割に当たる1,010万件。それ以外に、すでに「死亡が判明する」などして、一定の解明がなされた記録等が1,610万件、そして、今後さらに解明を進めるべき記録等が1,162万件あると公表されています。これらは、現在も解明作業が進行中の記録ですが、少しでも早く持ち主がはっきりするように、また今後このような事態が発生しないようにするためにも、加入者自身が「ねんきん定期便」でしっかりと確認することが大切になります。

このほかに「ねんきん定期便」の目的として、厚生年金の加入者に年金額の算定基準となる標準報酬月額を知らせるという点も重要です。これは、以前、社会保険庁職員らによる厚生年金の標準報酬月額改ざん事件が発覚しましたが、その実態を把握するための有効な手段として位置づけられています。「ねんきん定期便」では、標準報酬月額に誤りのある可能性のある人に、実際と違う金額に引き下げて訂正されている可能性がある部分を朱書きしたお知らせが同封されています。加入者にとって、これは将来の年金額に大きく影響する内容ですので、自分自身でしっかりと確認し、適切に回答することが大切になります。


「ねんきん定期便」で何が分かるの?

2009年度の「ねんきん定期便」については、対象者全員に次表のような内容のものが順次送付され、初回限定の特別版となっています。

<2009年度の「ねんきん定期便」の内容>
(1) 年金加入期間
(2) 年金見込額 (ア)50歳未満 加入実績に応じた年金見込額
(イ)50歳以上 「ねんきん定期便」作成時点の加入制度に引き続き加入した場合の将来の年金見込額
(3) 保険料の納付額
(4) 年金加入履歴
(5) 厚生年金のすべての期間の月毎の標準報酬月額・賞与額、保険料納付額
(6) 国民年金のすべての期間の月毎の保険料納付状況
※すでに年金受給中(全額停止も含む)の場合は、年金見込額の通知はなし
<出典>社会保険庁HPより抜粋の上、筆者が編集・作成

また、2010年度以降については、上記の(1)から(6)の内容について、下記のような違いがありますのでご注意ください。

<2010年度以降の「ねんきん定期便」の内容>
節目年齢時(35歳、45歳、58歳)の方

(1)〜(6)の記録を更新して通知

上記以外の方 (1)〜(3)の記録を更新して通知
(5)と(6)は直近一年分を通知

なお、2007年12月〜2008年10月に送付された「ねんきん特別便」は、加入期間とその期間における勤務先を確認することが目的であったため、記載内容が加入期間のみだったのに対して、「ねんきん定期便」は、加入者自身が過去の納付状況を確認することを目的としているため、記載内容はかなり充実しているといえます。


「ねんきん定期便」の注意点(チェックポイント)は?

では、「ねんきん定期便」が届いたら、具体的に何をチェックすればよいのでしょうか?

まずは、前述の表の6つの記載内容をよく確認することが大切です。また、「ねんきん定期便」には、オレンジ色水色の2色の封筒があり、特に年金記録に「漏れ」や「誤り」のある可能性の高い人には、オレンジ色の封筒で送られてきますので要注意です。そして、年金加入記録に漏れや標準報酬月額に誤りがある場合には、必要事項を「年金加入記録回答票」に記入し、同封してある返信用封筒に入れて回答を返送します。前述したように、年金記録に関する詳細な内容が対象者全員に送付されるのは、2009年度のみですので、この年度分の「ねんきん定期便」は、是非保存されることをお勧めします。

また、当然のことですが、「ねんきん定期便」は、社会保険庁に届けている住所が、現住所と異なっている場合は届きません。そのため、住所の訂正などを行う場合には、加入者自身による一定の手続きが必要となり、市区町村役場の国民年金担当窓口や勤務先などでよく確認し、速やかに手続きを行いましょう。もし、年金加入者で、今年の誕生月を過ぎても「ねんきん定期便」が届いていない・・・という人は、現住所が訂正されていない可能性もありますので、一度確認してみてください。

チェック
ポイント
  • 年金見込額と保険料納付額
  • 年金加入履歴(漏れや誤りがないかに注意)
  • 厚生年金の標準報酬月額の推移(特に不自然な減少などに注意)
  • 国民年金の保険料の納付記録(納付済、未納などを確認)
  • 届け出漏れで、第3号被保険者になっていないケースに注意
  • 年金加入記録回答票で、青い用紙の場合は訂正の有無に関係なく必ず回答
  • 定期便が送られてこない方は、「社会保険庁に届けている住所」を確認

最後に、年金問題が身近になる中で、「保険料さえ支払っていれば、将来、きちんと計算された年金がもらえる」という意識はもはや返上し、これからは、「自分の年金はしっかり自分で確認して受給する」という姿勢で臨むことが大切ではないでしょうか。

2009年6月
ファイナンシャル・プランナー
(CFPR)黒田 尚子

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