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第69回:不況期のマネープラン、2009年の家計を守るにはどうする?(2009年1月)

2008年は、米国発の世界的な金融不安から景気が一気に悪化し、経済環境やマーケット環境などが大きく変化しました。「100年に一度の金融危機」など、専門家の悲観的なコメントやニュースが毎日のように流れる中、不安でたまらないという人も多いのではないでしょうか? 今回のコラムでは、不況期において家計をどう守るかをテーマに、今年のマネープランを考える上での対策や注意点などについて解説してみたいと思います。


2008年後半から不況へと急降下、先行きへの不安高まる

2007年のサブプライムローン問題に端を発し、2008年後半の米証券リーマン・ブラザーズの破綻や米保険最大手AIGの公的資金導入など欧米の金融不安の影響で、世界中の株式市場が暴落し、その後も不安定な状況が続いています。日本株も昨年は大きく下落し、また戦後最長の好景気であった「いざなぎ景気」の期間を超えて長期の好況を維持してきた日本経済が、一転して「不況」という暗くて先の見えないトンネルをくぐりました。

2008年12月の日銀短観では、前回9月調査から21ポイントも下落し、この下落幅は第一次石油危機の1974年(昭和49年)8月の26ポイント下落に次ぐ、過去2番目の大きさという記録的な落ち込みとなりました。現在の景況感悪化は、業種や規模を問わずに拡大しており、企業は一斉に人員削減や生産調整に踏み切っていますが、急激な消費の冷え込みとともに、景気失速のスピードに対応しきれていないのが現状です。


不況時において家計を守る3つの方法とは?

では、このような厳しい経済環境下において、自分の家計を守るためには、いったいどうすればよいのでしょうか?

一般に家計を守る方法として、

(1)収入を増やす
(2)支出を減らす
(3)リスクを管理して運用する

の3つが大原則で、(1)の方法は、このご時世ではなかなか難しいため、今回は(2)と(3)の方法に着目して、家計防衛術を考えてみましょう。


支出を工夫して減らす:まとめ払いで賢く支払う!

多くの人は、収入が増えないとなると、「節約して家計を切り詰めなくちゃ…」と考えがちですが、最近のご家庭はエコ志向と相まって、ある程度の節約術は実践済み。このままでは、「これ以上どうやって節約するのよ!」という悲鳴が聞こえてきそうです。

そこで、今回は、お金の支払い方法を変えることで節約する方法をご提案します。例えば、国民年金保険料、税金(固定資産税・市民税)、生命・損害保険料、NHK受信料などの公共料金等を「まとめ払い」することによって、一定の割引が受けられます。

また、まとめなくても、口座振替などに変更するだけで割引されるものもありますし、さらに支払いをポイント還元率が高いクレジットカードを使って一括払いすることによって、ポイントが貯まり、それをマイルや商品券、現金等に交換することによって、さらに割引率もアップします。この方法は、下記以外にもまだ応用が可能ですので、一つの方法として覚えておくとよいでしょう。

<まとめ払いで節約できるもの>
項目 内容
国民年金
保険料
  • 口座振替で1年度分を前納すると、年間3,620円割引(2008年度)
  • 毎月払いでも口座振替制度を利用すると、年間600円割引
  • クレジットカード払いも可能(2008年3月分保険料から)
固定資産税・
市民税
  • 各自治体によって異なるものの、「全期前納報奨金制度」によって、報奨金(3%など)が受けられる(※近年、廃止する自治体が増えている)
家賃
  • UR都市機構の賃貸住宅の「家賃等一時払い制度」を利用すれば、一定期間中(1〜10年)の家賃及び共益費が割り引かれる。家賃等が月額5万円の場合(2009年1月の割引率)、1年分払いで0.785%、5年分払いで0.838%、10年分払いで0.925%。仮に10年分をまとめて払うと約27万円割引。
生命保険料
  • 会社によって割引率等は異なるものの、長期間ほど割引率は高くなる
  • 月払いより半年払いの場合で2%程度、年払いの場合で4%程度割安
損害保険料
  • 会社によって割引率等は異なるものの、長期間ほど割引率は高くなる
  • 自動車保険の場合、5%程度割安
NHK受信料
  • 2ヵ月払いを6ヵ月払いに変更した場合、約5%割引
  • 2ヵ月払いを1年払いに変更した場合、約7%割引
宅配便
  • ヤマト運輸の「回数券サービス」には小口回数券と大口回数券があり、小口回数券は、10種類(640円券〜1,580円券)で、それぞれ1回分お得(10%割引)
  • 同社の「複数口減額制度」を利用すると、2個以上の荷物は1個につき100円減額される
定期券
  • 例えば、JR東京⇔千葉間の通勤定期(大人)の場合、1ヵ月(18,580円×6ヵ月=111,480円)より6ヵ月(89,210円)は、約20%(22,270円)割引

支出を大きく減らす:住宅ローンの返済額と各種保険の保険料の削減を検討する!

支出を小まめに減らす対策を行っている方は結構多いですが、支出を大きく減らす対策をしっかりと行っている方はそれ程多くありません。家計において、毎月の大きな負担になっているのが「住宅ローンの返済」と「保険料の支払い」で、この2つを中長期の視点で大きく減らすことができれば、家計面でかなりのゆとりを作ることができます。

【住宅ローンの返済額を減らす・・・】

住宅ローンの返済額の削減には、「繰り上げ返済」と「借り換え」の2つの方法があります。前者の繰り上げ返済については、一時的には支出が増えますが、将来の支払利息を節約することができるため、中長期の視点では「総返済額」を大きく削減することができます。一方で、後者の借り換えについては、現在の低金利の状況をうまく活用して、より低金利のローンに変更できれば、毎月の返済額をこれまでより確実に減らすことができます。

繰り上げ返済 複数のローンがある場合は、金利の高いものから行う
借り換え ローン残高が1000万円以上、返済期間が10年以上、借り換えで金利が1%以上低くなる場合などに有効

【各種保険の保険料を減らす・・・】

一般に家計の支出において、保険料の支払いは、住宅ローンの返済に次いで、大きな負担になっています。各ご家庭で加入されている保険は大きく異なり、また保険の保障内容と保険料で全く無駄のない選択をされている方は非常に少ないのが現状です。そのため、ご家庭で加入されている保険(生命保険、医療保険、火災保険、自動車保険…)をしっかりと見直すことで、月払いや年払いなどの保険料を大きく削減できる可能性があります。

生命保険 の見直し 複数の保険に加入している場合は、保障内容の重複に注意。また、死亡保険などでは必要以上の保障額を設定していることも。特に定期保険と終身保険では、保険料と保障額の最適化がポイント
損害保険
の見直し
自動車保険は、一年契約の場合、毎年見直しが可能。保険の見積り・比較サイトなどを活用すると効果的

リスクを管理して運用する:資産運用はリスクを抑えて確実にリターンを得る!

現在のような先行き不透明な環境下で運用を行う場合、一発逆転のホームランを狙うよりも、まずは守りを固めて、コツコツ単打を繰り返して確実に点を稼ぐ方法が賢いやり方といえます。すなわち、資産運用にあたってまず考えるべきことは、「資産を守る」ことであり、そのためには「リスクを管理して運用する」ことがポイントになります。

資産を守るという視点では、収益性よりも流動性や安全性を重視した金融商品を選ぶことが基本になります。具体的なものとしては、普通預金や定期預金、MRFやMMF、個人向け国債や高格付け社債などが挙げられます。一方で、リスクを管理して運用するという視点では、自分のリスク許容度(どれくらい損に耐えられるか)によって、投資スタンス(全く投資しない、様子を見る、少し投資する、積極的に投資する)が大きく変わってきます。

以下では、相場低迷期の資産運用例をいくつかまとめてみました。今年(2009年)は、昨年からの危機を脱して景気が回復に向かうのか、それとも不況がしばらく続くのかは分かりませんが、「資産をしっかりと守る」ということだけは常に意識していただければと思います。

投資スタンス 資産運用例
全く投資しない 安全性を第一に考え、普通預金や定期預金、個人向け国債などを利用。また、少しでも金利が欲しい方は、ネット定期やキャンペーン定期、大手優良企業等の高格付け社債なども一つの選択肢。
様子を見る 収益性よりも流動性を重視し、長期の固定金利型商品ではなく、普通預金や定期預金(1年以内)、MRFやMMFなどを利用し、運用環境が好転したら、すぐにその資金を預け替えできるようにしておく。
少し投資する 長期投資が可能な余裕資金の一部を投資信託、ETF、株式、外貨預金、FXなどで運用。この場合、投資対象の分散と共に、投資時期の分散も心がける(一度に投資するのではなく、時間をかけながら気長に投資することがポイント)。
積極的に投資する 短期売買から中長期投資まで様々な運用手法があるが、リスク管理とリスクヘッジに十分注意する。特にポジション(持ち高)と損切りについては、相場急変時に大損をしないように取引ルールを事前に決めておくことが大切。

2009年1月
黒田尚子(CFP®)

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